酸素・化学勾配を同時形成するマイクロ流体デバイスの研究をJJAP誌に発表しました

酸素・化学勾配を同時形成するマイクロ流体デバイスの研究をJJAP誌に発表しました

修士2年の杉山君と修士1年須藤君による酸素・化学勾配を同時形成するマイクロ流体デバイスの研究論文を発表しました.

Sugiyama S., Sudo H., Tsukada K., Three-dimensional microfluidic cell culture device that generates chemical and oxygen gradients, Japanese Journal of Applied Physics, 63, 03SP48, 2024.
https://doi.org/10.35848/1347-4065/ad23a8

生体内において酸素や一酸化窒素などガス勾配やタンパク質などの分子勾配は生理機能や病態メカニズムの決定因子となりえますが,これらを生体外で再現することは一般に困難とされています.そこで,安定した化学勾配と酸素勾配を同時に,あるいは独立して発生させることができる細胞培養マイクロ流体デバイスを開発しました.それぞれの勾配の数値シミュレーションと実測実験から有効性を実証しました.また,培養細胞実験では,内皮細胞ネットワークの形成は血管新生阻害剤の勾配に従って阻害され,低酸素感受性色素で染色した腫瘍細胞は酸素勾配に従って蛍光を発することを実証しました.今後,生理学的および病理学的モデルや薬剤スクリーニングへの応用が期待されます.

血管内皮細胞ネットワーク(緑色)に対して血管新生阻害剤の濃度勾配を曝露した